メイドインアビスに登場する「ミーティ」は、元々は人間だったにもかかわらず、六層の上昇負荷によって見た目も言葉も奪われた「成れ果て」としてナナチと共に暮らしていました。ナナチにとって唯一無二の大切な存在であるミーティは、単なるキャラクター以上の深みを持つ存在として語り継がれています。
ここでは、ミーティの正体や「殺してほしい」と願った意味、そして復活の可能性に迫ります。
メイドインアビスのミーティの正体とは
ミーティの正体
ミーティの正体は、ナナチと同じくアビスで暮らす「成れ果て」という姿に変えられた元人間です。
六層の上昇負荷がもたらす呪いは、「人間性の喪失か死」という苛烈なリスクを伴うことで知られています。その中でも、ミーティは「人間性の喪失」に当たる側面を強く受けてしまい、外見も意志の疎通も失ってしまいました。
もとはナナチとほぼ同年代の少女で、朱金色に近い髪や瞳を持ち、回想シーンではやわらかな雰囲気を漂わせていました。しかし、獣のように変化した手先や潰れた左目は、過酷な実験の痕跡を物語っています。原作コミックス3巻やアニメの11話以降で登場し、「成れ果て」になりながらもナナチと共に暮らす姿は、見る側に強い衝撃を与えます。リコと出会うまで、肉塊のような外見になっても、ナナチはミーティの世話を懸命に続けていました。
人間だった頃の姿
人間だった頃のミーティは、白笛に憧れる明るく活発な少女。
国外から連れてこられたらしいという背景が示されており、他の子供たちとは違う露出の多い恰好をしていました。そのため、自由奔放な印象が強いキャラ設定です。
社交的ではなかったナナチに対して、ミーティは積極的に話しかけて友人になろうと試みました。その結果、ナナチの閉ざされていた心を開く大きなきっかけとなり、やがて「相棒」と呼ぶほどに親しくなります。
ナナチからも「オイラの宝物」とまで形容されるほど大切に想われる存在だったことが、示唆されています。
鳴き声を演じる声優さんは「喜多村 英梨(きたむら えり)」
ミーティの鳴き声を担当している声優は、多くのアニメで活躍する喜多村 英梨(きたむら えり)さんです。
代表作には『フレッシュプリキュア!』の蒼乃美希(キュアベリー)や、『〈物語〉シリーズ』の阿良々木火憐、さらには『魔法少女まどか☆マギカ』の美樹さやかなどがあります。 クールな役どころや元気な少女役など、幅広い演技で知られる喜多村 英梨さんがミーティの独特な鳴き声を担当していることは作品ファンの間でも話題になりました。
ミーティの誕生の秘密
ミーティが「成れ果て」になってしまった原因は、探窟家の中でも狂気じみた研究に没頭するボンドルドにあります。
ナナチやミーティをはじめとする孤児たちを「六層の呪いに耐えさせる実験」にかけ、人間の姿と理性を、奪っていきました。 ボンドルドの「真実を追い求める」という欲望が、ミーティの人生を大きく狂わせることになります。
秘密1.ボンドルドの実験によって誕生した
孤児を集めては人体実験を繰り返すボンドルドの手によって、ミーティとナナチは六層に連れて行かれました。
そこで行われたのが、上昇負荷を克服するための実験。ナナチとミーティは繋がったカプセルのようなものに入れられ、ミーティはナナチの「上昇負荷の呪い」を押しつけられ、全身の激痛と出血と共に人間の姿と理性を失いました。
結果、ナナチは愛する相棒を守るかのように救われ、ミーティには六層の呪いが集中する形となってしまったのです。
この実験の影響で、ミーティの全身は崩れるように変貌し、話すこともままならない異形の姿へと変わり果てます。痛みや出血が続く耐えがたい苦行の末、6層の負荷である「人間性の消失」により「成れ果て」へと変貌しました。
秘密2.殺してほしいと願っていた
過酷な実験の寸前で、真実を知ったミーティは自分が「成れ果て」になった時のことを想定して、ナナチに「魂が還るように…」とナナチに願いを託しました。
オースの街では「アビスで生まれた者はアビスに還る」と信じられています。また、原作の最新話では「魂の下処理」として全ての魂は繋がっているとスラージョが話していました。
このことから、アビスでは生まれ変わりが信じられており、命を断つことで新しい生を受けるとミーティは考えていたのだと思われます。実験後の生存確率はないと思ったミーティは、事前にナナチに「魂が還るように」と願ったのでしょう。
これは、人間ではなくなる絶望に耐え続けるよりも、魂の解放を望んだ思いから生まれた決断です。 ナナチにとって、それは守りたい友の切なる頼みであり、同時にどうしても実行できない苦悩の種にもなりました。
秘密3.不死の体を持っている
ミーティは食事を必要とせず、どれだけダメージを受けても再生する不死性を得ています。しかし、完全に痛みが消えているわけではありません。肉体が破損すれば苦しみ、涙すら流すため、その身体がどれほど強くても終わりなき苦痛を味わうことになります。
また、ナナチはミーティの瞳にかつての面影が宿っていると感じており、魂自体はまだ存在しているのではないかと推測します。ナナチが多くの医療知識を身につけたのも、この不死性を打ち破り、愛する「宝物」を解放する方法を探すためでした。最終的にはレグの火葬砲を通じて、ミーティを自由にする道が開かれますが、その決断は大きな喪失でもありました。
ミーティの復活の可能性
ミーティはレグの火葬砲によって完全に消滅したかに思われましたが、その後、第6層の成れ果て村で「コピー品」として再登場します。三賢の一人ベラフが「魂までも完全に複製できる」という村の力を用い、ボンドルドに譲ってもらえなかった本物を再現させたのです。 コピーされた存在は両目が完全な状態で、不死性も受け継がれています。しかし、ベラフの欲求により食用として扱われており、その悲惨な姿を見たナナチはミーティを救うことを決意し、引き換えに自らを差し出す道を選びました。
結果として、ファプタの襲撃によってベラフが正気を取り戻し、ナナチとミーティは解放されますが、イルぶるの外へ出た複製体は存在を保てないことが明かされます。ナナチは束の間の再会に涙しながらも、今度は自らの手で「境界線」を越えていくミーティを見送るのです。
まとめ
ミーティの物語は、メイドインアビスという作品が描き出す「深淵に潜む美しさと残酷さ」を象徴しています。ボンドルドの手で成れ果てとなり、不死の苦しみを抱えながらも、ナナチにとってはかけがえのない「宝物」でした。「殺してほしい」という願いは、ミーティなりの優しさと誇りの表れであり、その切実な想いが作品の世界観に厚みを加えています。 また、複製として一度は復活を果たすものの、イルぶるの外では姿を保てないという儚い展開は、アビスの理不尽さを改めて浮き彫りにしました。
ミーティが残した記憶と絆は、ナナチやリコ、レグに大きな影響を与えています。メイドインアビスの物語を語るうえで、ミーティという存在が放つ余韻は、今後も多くのファンの心に刻まれ続けるはずです。