深界六層「還らずの都」に存在する成れ果て村(イルぶる)の近辺で暮らす「ファプタ」。彼女は褐色の肌と独特な口調、そして鋭い爪を持つ4本の腕を持っています。
今回は、【メイドインアビス】ファプタの正体とレグとのその後はどうなったのか、また死亡説について考察していきます。
メイドインアビスのファプタの正体
ファプタは、深界六層にあるイルぶる周辺で確認される謎の存在。上昇負荷もなく戦闘能力も高いことから、リコさん隊の貴重な戦力です。
ファプタは、成れ果て村に直接入れなかった時期がありながら、「成れ果ての姫」として村から崇められてきました。性別は雌と推測され、ハーピィや獣人にも見える特異な外見を持ちながら、非常に高い知能と感受性を示します。母親の魂を解放しようという強い使命感がある一方で、育ての親と呼ぶ干渉器「ガブールン」や、記憶を失ったレグとの因縁が示唆されています。
もともとはイルぶるの外で誕生した特別な子。村人たちは、ファプタを見ると喜び泣いてしまうほど。その理由は、イルぶるを誕生させたイルミューイの最後の子供であること、「価値」の化身であるためです。
しかし一方で、ファプタ自身は、村の者たちを恨み抜き、やがて殲滅を図ろうと試みる過激な行動を見せるようになります。その陰には、奪われた母親や兄姉の無念が深く根付いているのです。
ファプタの外観
ファプタの外見は、褐色の肌に金色の瞳、そして頭に羽のように広がる髪が特徴的です。頭部には紅玉のような角がティアラのように配置されており、横から見ると不思議な装飾を身につけているかのようにも映ります。上半身には4本の腕があり、白い羽毛で覆われた部分には九尾の狐を思わせる5本の尻尾状の毛束が生えています。
鋭い爪を備えた腕は、戦闘だけでなく、繊細な作業も行える器用さを持ち合わせています。さらに「第4の爪」という隠された感覚器官があり、レグの体液の成分を読み取るなど、特殊な分析能力を発揮する場面も見られます。また、体全体が状況に合わせて変形しており、脚先を絡ませるように動かしたり、尻尾を大きく広げて毛玉のような塊になったりと、まるで不定形生物かのような変幻自在さがあります。興奮時には瞳孔が極端に収縮し、まるで猛獣のような恐ろしい表情を見せるため、普段の愛らしい雰囲気とのギャップも印象的です。
ファプタの性格
口癖である「そす」という独特の語尾がチャーミングに聞こえる反面、その感情はひと筋縄ではいかない複雑さを持っています。イルぶるの住人からは「成れ果ての姫」と崇拝される立場にありながら、ファプタ自身は母の苦しみや兄姉たちの悲哀を知っているため、村の者たちへ激しい敵意を向けます。その一方で、かつて関わりがあったレグのことを強く覚えており、「約束を果たすために戻ってきてほしい」という切なる想いを抱いています。
深界六層において圧倒的ともいえる力を有しているため、イルぶるの住人から恐れられると同時に崇敬を集めています。しかしファプタは決して無慈悲な存在ではなく、自暴自棄になりつつも、新しい情報や記憶が与えられると次第に感情が変化していく柔軟さも持ち合わせています。深い哀しみと激しい憎悪、そして新たな発見への好奇心が混ざり合ったファプタの性格は、メイドインアビスという作品全体の奥深さを象徴しているといえます。
ファプタは死亡しない不死の体
ファプタという名前は「果てぬ姫」という意味で、ガブールンから名付けられたもの。
そのため、「不死=死なない」という設定ではありません。しかし、イルブル内の戦闘では、生まれ育つことが叶わなかった兄弟たちの魂?を得て、何度も復活しています。
しかし、イルブルが破壊された今、兄弟たちの魂を得て復活することは難しいと思われます。そのため、不死かどうかと言われれば不死ではないと考察できるでしょう。ただ、時間の流れが異なるアビス内でレグの帰りを変わらない姿で待っていることができました。
そのため年を取りにくい体であると考察も可能です。
メイドインアビスのファプタの願いと想い
ファプタは、生まれてすぐに命を落とした兄姉たちや、自身を犠牲にして村を生み出した母親を想うことで、「復讐」をひとつの使命として掲げています。イルぶるの住人たちに対する強い恨みや憎しみが原動力となり、長らく村の内部へ侵入できない身でありながら、決定的な機会を狙っていました。 レグが放った火葬砲によって村の一部が破壊されると、ついにファプタは内部侵入を果たし、兄姉たちの力を借りて殲滅を試みます。
しかし、ベラフが与えた「記憶」によって母親が孤独ではなかった事実を知ると、これまで頑なだった想いが揺らぎ始めます。さらにリュウサザイの襲来やガブールンの破壊など、予想外の出来事が重なり、ファプタは心身共に限界状態に追い込まれます。そんな中でイルぶるの住人たちから「献身」を受け、回復に至ったことで、ファプタの世界観は一変します。必ずしも復讐だけが存在理由ではないという気づきが生まれ、最終的には母の魂を解放するという使命を果たすと同時に、自分自身の新たな生き方を見出そうとするのです。
メイドインアビスのファプタ誕生の秘密
イルぶるの成り立ちそのものと深いつながりを持つファプタは、母親であるイルミューイが「欲望の揺籃」という遺物を利用して生み落とした最後の子とされています。その出自は深界六層での悲劇を象徴するような存在であり、村の住人がなぜファプタを神聖視するのかを理解するうえでも欠かせない要素です。ここでは、ファプタの生い立ちや、レグとの絆、そして白笛たちとの交流など、3つの秘密に触れていきます。
秘密1.遺物から生まれた「イルぶるの姫」
ファプタは、イルミューイが村の外へと産んだ最後の娘として誕生しました。母親が体内に取り込んでいた「欲望の揺籃」という遺物が深く関わっているため、普通の人間では到達しえない特異な能力を備えています。「ファウ」は尊い娘、「アプタ」は不滅を意味する言葉を組み合わせた名前で、干渉器の一体が名づけ役となりました。その干渉器へはファプタ自身が「ガブールン」という名を与え、育ての親のように慕っていたのです。 この誕生の経緯から、ファプタは通常の探窟家や成れ果てとも異なる独特の立ち位置を持ち、成れ果て村の住人には「姫」と呼ばれる存在になりました。イルぶると切っても切り離せないこの存在意義は、復讐と解放という二面性を抱えた物語の核になっています。
秘密2.ファプタはレグが好き
ファプタとレグの間には、記憶を失う前から深いつながりがあったとされます。出会った当初は怪しい存在として警戒していたファプタですが、レグの優しさや行動力を知るうちに心を開き、初めての友だと思うようになりました。やがて特別な感情を抱くようになり、レグが再び戻ってくることを心待ちにしていたのです。 ファプタの口癖である「そす」は、レグとの会話の中で教わった言葉づかいがもとになっています。
深界という過酷な環境のなかで培われた関係性は、ただの仲間意識を超えた純粋な思慕に近いものと考えられます。実際、レグが記憶を失い、ファプタをまったく覚えていなかったことに大きなショックを受ける様子が描かれており、その胸中には愛情と悲しみが複雑に混じり合っているようです。
秘密3.白笛と対話できる
ファプタには、命を響く石である白笛と意思疎通できる特別な力があるとされています。この能力は、誕生にアビスの遺物が関わっているからかもしれないと推測されていますが、真相はまだ明らかではありません。プルシュカが石化した状態で助けを求める声を感じ取り、ガブールンとともに村へ連れて行ったのは、ファプタならではの能力の賜物です。
また、ライザの形見となった笛からもメッセージを聞き取ったといわれ、ある種の翻訳のような働きができる点も興味深い要素です。この力によって、本来言語を発せない白笛たちの思いやメッセージを受け取れるため、ファプタはアビスの深部に潜むさらなる謎に迫る重要なキーともいえます。
まとめ
ファプタは、母親の犠牲と数多くの兄姉たちの死を背負い、深界六層で孤高の道を歩んできた存在です。イルぶるの者たちを恨み、復讐を誓いつつも、かつて心を通わせたレグに再び出会うことで、その頑なな意志に揺らぎが生まれます。復讐だけを生きる糧にしていたファプタが、母親の知られざる姿や住人からの献身を受けて変化する過程は、メイドインアビスという作品が紡ぐ深いテーマの象徴ともいえるでしょう。
母の魂を解放するという願いを果たし、新たな自我に目覚めていくファプタの今後には、さらなる試練や発見が待ち受けているはずです。白笛と対話できる特殊能力や、レグとの絆の行方も含め、物語の焦点として大きな見どころを担っています。謎と魅力が尽きないファプタは、アビスの深淵でいまだ語られ尽くしていない神秘そのものであり、今後の展開においても重要な役割を果たすでしょう。