『Re:ゼロから始める異世界生活』に登場する精霊ベアトリスは、ロズワール邸の隠し部屋「禁書庫」を守る孤独な存在です。金髪ツインドリルと蝶の瞳が特徴的な彼女は、エキドナとの契約に従い「その人」を400年待ち続けています。
スバルと出会い、彼を新たな契約者に選んで禁書庫を出る決意をした彼女の強さと優しさ、そして複雑な過去には、物語の謎や感動が詰まっています。今回は、ベアトリスの正体やスバルとの関係、彼女の目的に迫ります。
【リゼロ】精霊ベアトリスの正体
ロズワール邸に存在する『禁書庫』を管理する精霊、ベアトリス。
一人称は「ベティー」、二人称は「お前」など、独自の呼び方を使い、エミリアを「半魔の娘」、レムを「姉妹の妹」と呼ぶなど、人物ごとに異なる表現をしています。
特にロズワールに対しては彼の名前で呼び、パックを「にーちゃ」と親しみを込めて呼ぶ一方、スバルにはつっけんどんな態度を見せつつも、やさしさが垣間見えます。独自の言葉遣いで「~かしら」「~なのよ」といった女性語が特徴的で、ツンデレ気質が目立つ性格です。
しかし実は孤独に弱く、意地っ張りな一面も持つ、複雑なキャラクターです。
ベアトリスの強さ・権能
ベアトリスは陰魔法の高位の使い手で、「扉渡り」を代表とする多様な魔術を操ります。
「扉渡り」とは扉の内と外を異なる空間につなげ、場所を超えて行き来できる魔法。ベアトリスはこの力を用い、禁書庫を隠して外部からの侵入を防いでいます。
また、禁書庫のある屋敷内ではロズワールとも渡り合えるほどの強力な魔力を発揮できる一方、外に出るとその力は大幅に低下することも。陰魔法は他にも重力操作や飛行、杭の召喚など、実用的な応用が可能であり、ベアトリスは陰魔法の扱いにおいては他の精霊を圧倒する存在です。
リゼロの中では、大精霊に加えられるほど強力なベアトリスの魔法。魔女教大罪司教や三代魔獣戦では、圧倒的な力を見せています。
ベアトリスの目的
ベアトリスはエキドナとの契約により、「その人」が現れるまで禁書庫を守るという使命を健気に守っています。
しかし、400年もの長い孤独な時間が、彼女に自暴自棄な気持ちをもたらしています。実は仲間たちが困難に直面しても、それに関わることを避け、禁書庫に閉じこもることで気持ちを紛らわせている一面も。
孤独を強いられた彼女が心を開ける相手は限られており、エキドナが定めた「その人」を待ち続けることが、ベアトリス唯一の心の支えなのです。
ベアトリスの過去!禁書庫精霊の謎
魔女の館生まれる
ベアトリスは魔女エキドナが住む「魔女の館」で生まれ育ちました。
山の頂上に位置するその館は、深い森に囲まれた場所であり、幼いベアトリスはパックと共に3歳までの幼少期を過ごしています。
大量の本に囲まれ、読書をしながら日々を過ごす彼女は、この時期に知識を蓄える機会を得ています。エキドナの元で育ったことで、のちに「禁書庫の守護者」としての役割を担う下地が作られていったのです。
エキドナの代わりにトスカの願いを聞き届ける
魔女の館で暮らすベアトリスは、エキドナから「訪れた者の願いを聞き届ける」役割を与えられました。
ある日、魔女の館に剣聖レイドの弟トスカが願いを叶えるべく魔女の館にやってきます。トスカは幼馴染を邪竜から救うためにベアトリスに助けを求め、パックと共に危険な旅へ出かけます。
しかし、強力な邪竜には太刀打ちできず、彼らは敗北を覚悟します。その時、外出から戻ったエキドナの助けを借りて一命を取り留め、トスカの願いを果たしました。
リューズとの出会いと別れ
エキドナとともに「聖域」と呼ばれる村に移り住んだベアトリスは、メイザース家の当主ロズワールやエルフの少女リューズ=メイエルと出会います。
特にリューズとは仲良くなり、互いに親交を深めていきますが、やがて村には「憂鬱の魔人」という脅威が現れ、村を守るためエキドナは聖域を構築しようと決意します。
しかし、結界を完成させるには莫大なマナが必要で、リューズが人柱となり聖域を守る存在となることに。リューズの犠牲により聖域が完成し、さらにエキドナが長い眠りにつくことを決めたことで、ベアトリスは禁書庫の守護を命じられ、孤独な契約に縛られていくのです。
「その人」を待ち400年間禁書庫で過ごす
エキドナは「その人」が現れるまで禁書庫を守るようにベアトリスと契約しましたが、具体的に「その人」が誰であるかは伝えませんでした。
彼女に渡された複製本「叡智の書」は未来の記録が書かれているはずでしたが、長い年月のうちに白紙になり、彼女は誰を待てばいいのかもわからないまま、400年間も禁書庫で孤独な時間を過ごしていきます。
この契約は他の誰かと新しい契約を交わすことで上書きできる可能性がありましたが、ベアトリスを「最優先で選ぶ」という強い意志が必要であったため、契約を引き継ぐ者は現れませんでした。エキドナは実際にはベアトリスが「その人」と認める者が現れるか、永遠に待ち続けるかを知りたいだけだったのです。
パックと再会するも嫉妬する
エミリアと契約している精霊パックは、ベアトリスにとって「にーちゃ」と呼ぶほど親しい存在。
二人は400年以上前からの縁があり、共に過ごした時期も長くありましたが、パックは魔人との戦いが始まる前に旅立ち、別々の道を歩んでいました。
再会が叶わないと諦めかけていたベアトリスにとって、パックとの再会は心の揺れ動く瞬間となり、彼が己の使命を果たす姿を見て誇りに思いつつも、役割を見つけたパックに嫉妬の感情が芽生えます。
再会は嬉しい反面、自分も彼のように生まれた意味を全うできるのかと自問する、そんな複雑な思いが交錯していました。
スバルを選んで禁書庫を出る
エキドナの手によって生み出された人工精霊であることが明らかになる第4章で、ベアトリスは禁書庫を出てスバルと契約を結ぶ決意をします。
スバルは執拗に彼女を説得し、「ベアトリスを一番に選ぶ」という覚悟を示し、ベアトリスも彼を「その人=自分が選んだ人」として認めます。
契約後、ベアトリスはスバルのことを名前で呼ぶようになり、彼と共に強敵である「多兎」を倒すなど、絆を深めていきます。さらにスバルの契約精霊として、精霊騎士ナツキ・スバルの相棒としても知られる存在となり、彼女の冷たい態度も次第に和らいでいきます。
スバルを大切に思うようになり、家族のような関係性が築かれていきます。
水門都市で大罪司教相手に奮闘
水門都市でスバルと共に大罪司教と対峙するベアトリス。
スバルを守るために力を尽くし、マナを使い切るほどの戦いを繰り広げた彼女は一時的に寝たきりになってしまいますが、キリタカの持ってきた魔石によって力を取り戻します。その後、圧倒的な魔法と知恵を駆使して強敵を撃退し、スバルを再び守り抜く活躍を見せます。
ヴォラキア帝国でスピンクスと対峙
スバルを追ってエミリアたちと共にヴォラキア帝国に向かったベアトリスは、そこで強敵スピンクスとの対決を迎えます。
長きにわたる孤独から救い出してくれたスバルに対する強い思いから、彼女は力を尽くして戦い抜き、スピンクスを見事に撃退しました。
この戦いによって、ベアトリスはスバルとの絆がさらに強くなり、彼を支える存在として自分の意義を再確認します。彼女の成長と決意が表れる、感動的な場面です。
オル・シャマクで封印される
プリシラを失ったアルデバランのために、再度プレアデス監視等にやってきたベアトリスとスバル一行。
死者の書を探すアルを心配しつつも、アルを見張ります。しかし、思いがけずアルの魔女封じの魔法「オルシャマク」にてスバル共々封印されてしまいます。
アルはスバルの死に戻りに警戒し、オルシャマクを使ったとのこと。魔女さえも封じ込めてしまう禁呪に囚われたベアトリスとスバルは、復活できる日が来るのでしょうか。
ベアトリスが抱える謎3つ
謎1.待ち望んだその人を拒絶した過去
150歳になったトスカがベアトリスのもとを訪れ、「その人」として彼女を連れ出そうと試みます。しかしベアトリスは彼を拒絶しました。実は、彼女が待ち望んでいた「その人」とは架空の存在であり、ロズワールが孤独な彼女を憐れんで、トスカをその役に送り込んだのです。それでも、ベアトリスが「その人」を拒んだことには、彼女の強い信念が関係しているとされています。
謎2.スバルが扉を開けられた理由
禁書庫は通常の方法では入れない場所ですが、スバルは奇跡的に扉を開けることができました。これはベアトリスがエキドナとの契約の一環で「その人」を待っていたことが関係していると考えられます。スバルが「その人」としての資質を示したために、禁書庫の扉が彼に応えたのかもしれません。
謎3.スバルの権能「死に戻り」を知っている?
スバルには「死に戻り」という特殊な権能がありますが、ベアトリスがその存在を知っているかどうかは不明です。
ただ、レムがバテンカイトスと対峙し皆からレムの記憶が失われた際、ベアトリスは禁書庫にしました。空間が異なる禁書庫ではバテンカイトスの権能の力が及ばなかったため、ベアトリスの中でレムの記憶は残されたままです。
このことから、ベアトリス自身に権能が及ばない何かがあったわけではなく、禁書庫自体に権能が及ばない力があったという風に読み取れます。
番外編でのベアトリス
短編集のベアトリス
番外編の短編集に登場するベアトリスは、通常のシリアスな雰囲気とは違い、時にはユーモラスでコミカルな面も見せます。スバルやエミリア、パックとの交流を通して、普段見せない一面が描かれており、物語の緊張感を和らげる存在としての役割も果たしています。ベアトリスの意地っ張りな性格が笑いを誘うエピソードも多く、ファンにとっては新鮮な彼女の姿を楽しめる機会となっています。
まとめ
ベアトリスは、エキドナとの契約により禁書庫を守り続ける孤独な精霊であり、400年という長い時を経てスバルと出会います。彼女の陰魔法による強力な力や複雑な過去、そして孤独と優しさが交錯する姿は、多くの人を惹きつけています。スバルと心を通わせ、禁書庫を出て共に旅をすることで新たな運命を歩み始めたベアトリス。
彼女の行く末は、物語の中でも多くの謎と感動を生み出し続ける存在です。